<プロッキーの股関節形成不全@>


2005年9月22日、プロッキーが股関節形成不全だと診断されました。
股関節形成不全=運動してはいけない、という考えをずっと抱いていたので、この病名を聞いた時、どうしたらいいのか、初めは不安だらけでした。
でもきちんと対処していけば運動は続けていいことを知りました。
今後のために、ここに経過を記すことにしました。

@1歳6ヶ月のある日                                           2002年11月18日

この日は朝、血尿が出たため、かかりつけの病院に連れて行くと、臨時のお休みでした。そこで近くにあるほかの病院へ。
診断は膀胱炎。尿検査とレントゲンを撮りました。
レントゲンを見せてもらいながら説明を聞き、たまたま股関節部分も写っていたので、先生がそれを見て、「まあ大丈夫でしょう。」と診断してくれました。
これが今になって見れば誤診だったわけですが、股関節部分は全部が写っていたわけでもないし、専門の先生でもなかったわけですから、仕方がなかったと思います。この先生をうらむつもりは全くありませんし、むしろこの時に股関節形成不全が見つからなくて、かえってよかったのかもしれないとも思っています。

というわけで、これまでディスクをやったり、アジリティをやったり、運動をさせてきてしまいました。

A股関節形成不全の診断                                       2005年9月22日         

こうして運動を続けながらプロッキーは3才4ヶ月になりました。
「大丈夫でしょう。」といわれたけれど、プロッキーのモンローウォークはずっと気になっていました。
他の犬に比べて歩く時のおしりの振り方がなんとなく大きい気がしたのです。
以前にかかりつけの先生に相談したこともあったのですが、「犬は多少おしりを振って歩きますから、痛がっている様子がなければ大丈夫でしょう。もう少し様子を見てください。」と言われました。
たしかにプロッキーはおしりを振って歩くけれど、全く痛がっている様子がなかったのです。
今思うとこれも誤診だったわけです。
それでもこの夏くらいから運動したあと、特におしりの振りがひどくなるようで気になっていたので、もう一度先生に相談してみました。
「専門ではないからはっきりした判断はできませんが、一応レントゲンを撮ってみましょう。」と言ってくれて、レントゲンを撮ってもらいました。
フィルムができあがり、診察室に呼ばれていくと、先生の第一声。
「思ってたより悪いですね。」
専門外の先生が見ても、それどころか素人の私が見ても悪いとわかるほどの状態でした。
大腿骨頭の変形が認められたからです。
「ディスクやアジリティはしないほうがいいでしょう。」と言われました。
ただやはり自分は専門ではないということで、近くの大学病院の先生のことも紹介してくれました。
盲導犬協会の犬の検査もしている先生で、関節が専門だということでした。
恐れていたことが現実になり、やはりショックでした。
あんなに動くことが大好きなのに、これからは走ることもできないのかと思うとかわいそうで。
家に帰ってから、ネットで股関節形成不全のことを調べまくりました。
とにかくこれからどうしたらいいのか、というのが一番知りたいことでした。
症状が重くて手術を受けた犬もかなりいることを知り、もしかしたらプロッキーも手術が必要なくらい重症なんじゃないかと思ったり。
帰宅した主人に相談し、やはり素人があれこれと思い悩むよりは専門の先生に診てもらったほうがいいということになり、病院をさがすことにしました。

B病院探し                                            2005年9月23日

次の日、かかりつけの先生に紹介された大学病院に電話してみました。しかし祝日だったため、つながったのは守衛室。
もうこの時点でここはだめだと思いました。
大きな病院だと担当の先生も曜日が決まっていて、毎日いるわけではないし、なにかあった時、すぐに見てもらえない、電話で相談もできないというのではあまりにも不安です。
そこでネットでいろいろ探した中のひとつ、世田谷の病院に電話をしてみました。
その病院は、ホームページの最初の入り口に「とくに犬の股関節形成不全の治療に力を入れています。」というひとことがありました。個人病院ですが、年中無休で2〜4人の先生が常駐していること、OFA,JAHD,PennHIPの検査もできること、また最悪手術となった場合にそこで手術が受けられること、この前入った保険の提携医だということ、少し遠いけれど高速で一時間くらいでいけるということなど、我が家にとっては最も都合がよいと思われました。
主人が電話して今までのいきさつを簡単に話し、明日行くということを伝えました。

C専門医の診察                                       2005年9月24日

病院に着き、初めに問診を受けました。今までの経過を説明し、先生からの質問に答えます。
そのあと触診です。足の筋肉や関節などを触ってみて、「左のほうが少しだけ筋肉がうすいようなので、左のほうが悪いかもしれません。」と言われました。
そしてレントゲンを撮りました。以前聞いた話では股関節形成不全の診断をするためには麻酔下で足に加重をかけてとらなくてはいけないと聞いていたのですが、それはPennHIPの診断を受ける際の撮影の仕方だそうです。こちらの病院では麻酔は使わずに撮影をしました。現像が終わってもう一度診察室で説明を受けました。
当たり前ですが、おととい撮ったレントゲンと同じです。
たださすがに専門の先生だけあって詳しく説明してくれました。
正常な状態のレントゲン写真と比べて見せてくれ、プロッキーの場合は骨盤側のくぼみが浅いこと、それによって普通は半分くらい骨盤のくぼみにおさまっている大腿骨頭が1/3くらいしかおさまっていないこと、そのために関節がこすれて大腿骨頭に変形が起きていることなど詳しく丁寧に説明してくれました。
またレントゲン写真で見ると、左側のほうが筋肉がうすく、大腿骨頭の変形も大きいことがわかりました。
さっきの先生の触診での診断は正しかったわけです。
そして今現在の時点では、プロッキーはそれほど強い痛みは感じていないだろうということ、また今まで知らずに運動してきたことで筋肉がつき、それによってこれ以上悪い状態にならなかったのかもしれませんと言われて、本当に救われる思いでした。今のプロッキーの股関節は脱臼するかもしれない可能性もあるわけですが、筋肉がそれをカバーしていてくれたわけです。

D治療                                                   

治療といっても治せる病気ではないので、現状より進まないようにするのが唯一の方法です。
先生の説明ではその方法は3つ。
@体重管理・・・・・・・あと1キロくらい痩せさせること。さっとひとなでした時に、あばら骨のでこぼこが感じられるくらいに。

A痛みを抑える・・・鎮痛剤も使用することがあるけれど、今の時点ではそれほど痛みを感じていないようなので、グルコサミン
            などのサプリメントを飲ませて、関節のクッションを円滑にする。
B運動制限・・・・・・運動をやめてしまって筋肉が落ちてしまうのが一番よくないので、このまま続けること。
            ただディスクはやめましょう、ということになりました。アジリティに関してはこのまま続けてみて、
            半年後にレントゲンを撮り、どういう状態になっているか確認してから、そのまま続けるか、やめるか
            判断しましょうということになりました。とりあえずディスク以外は今までどおりの生活をしてくださいといわれま
            した。

これを聞いて、本当に専門の先生に診ていただいてよかったと思いました。今現在どのくらいのことができるのかわかっただけでも不安の量が全然違います。ディスクができなくなってしまうのは本当に残念だけど、それ以外は今までと同じに過ごせるというのを聞いて気持ちも少し楽になりました。

E手術のこと

万が一のことを考えて、手術についても説明してくれました。
状態が悪化し、痛みで歩くこともできなくなった場合は、今は人工関節に置き換える手術が行われているそうです。
しかし、その人工関節は大型犬用に作られているもので、一番小さいサイズのものでも小柄なプロッキーには大きすぎて使えないので、この手術はできないそうです。
そうなると骨頭切除手術になるそうです。これは大腿骨頭を切り取ってしまうもので、骨盤との摩擦によっておこる痛みはなくなります。骨を切り取っちゃって大丈夫なの?と思いましたが、筋肉が足を支えてくれれば歩けるそうです。
でもあくまでも手術は最後の手段。手術にならないようこれからしっかり管理していかなくてはいけません。

Fその後の診断                                         2005年9月28日

今回診ていただいた先生に、今の状態と以前の状態を比べてみたいので、一才半の時に撮ったレントゲン写真を借りてきてほしいと言われていたので、次の日以前行った病院に行き、事情を話しレントゲン写真を貸していただきました。
先生宛に送ると、翌日すぐに連絡をいただけました。
その以前のレントゲン写真は、現在とほとんど変わらない状態だったそうです。成長期に急激に悪くなり、1歳半の時にはもうかなり進んだ状態だったということでした。でも1才半から3才4ヶ月の現在までほとんど悪化はしていないということなので、この先も急激に悪くなるようなことはないでしょうと言っていただけました。
またこの先飼い主が気をつけてきちんと対処していけば、天寿を全うするまで、手術をしないで過ごせるかもしれません、とも言っていただけました。股関節形成不全だからといって恐れずにこれからも運動を続けてください、そしてなにかあった時には対処できるだけの手段もあるから、決して悲観的にならないでください、と励ましていただきました。受話器を置いた時にはうれしくて涙がこぼれてしまいました。

Gこれから

今まで知らずに運動させていたことが、かえってこの病気のためにはよかったようです。
プロッキーはディスクを始めたのも1才を過ぎてからだったし、大会もマザーカップに年5回出る程度。週末に練習することはあってもそれほど過激に練習はさせていませんでした。キャッチする時もめったにジャンプはしなかったし(できなかった?)。
たぶん股関形成不全の犬が十分な筋肉をつけるのには適度な運動量だったのでしょう。
1才より早くディスクを始めていたら・・・。もっと頻繁に大会に参加していたら・・・逆にあまり運動させないでいたら・・・もしかしたらもっと悪い状態になっていたのかもしれません。
そして1歳半のあの時、股関節形成不全だと診断されていたら、たぶん怖くてディスクもアジリティもやっていなかったと思うのです。あの1/3しかはまっていない関節をみてしまったら、怖くてできなかったと思います。

今回の病気の診断は本当に辛いものではあったけれど、専門の先生に診てもらい、きちんと現在のプロッキーの状態を把握できたことで、今までの不安な気持ちも消えました。またこれからどうしたらよいのか、指示をいただけたことも大きかったです。
ディスクはできなくなってしまったけれど、それ以外は今までどおりの生活をしていいというのが本当にうれしかった。
ただ、今はまだ若いけれど、年を取ったときどうなるのだろうという不安は確かにあります。それでも「手術をすることなく天寿を全うすることができるかもしれません。」という先生の言葉が現実になるよう家族みんなで頑張ろうと思います。
まずは半年後。それまでに症状が悪化しませんように願うばかりです。



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2005年9月30日

(注: 長文なのでお時間のある方だけどうぞ)